出発前に、大きな木に会いに行きます、と書きました。会ってきました。

到着してすぐ、開放的で眺めの良いところに通されゆっくりと座っていると、日本人スタッフの恵子さんが、ウェルカムドリンクに加えてシャンパンも出してくださいました。ここから2泊が始まりました。

ヴィラ12という部屋
案内されたのはレインフォレストヴィラの12番。外から見ると、山小屋のようでした。森に溶け込んでいて、建物のほうが一歩下がっている感じがします。

ところが扉を開けて中に入ると、印象が変わります。すごくくつろげる高級な作りなのです。
右手に天蓋付きのベッド。入ってすぐのところにテーブルと一人がけのソファが2脚あって、その奥には長いソファ。左手はクローゼットと洗面台が男女それぞれに一つずつ、さらに奥がバスタブです。

ふた部屋の間には木の大きな両開き扉があります。ただ、初めから開いていました。閉めずに使えるようになっている、というのがこの部屋の考え方なのだと思います。

ベッドに寝転んで部屋を眺めると、木を組んだ屋根がとても綺麗に見えました。視線の先に奥行きがあって、この眺めがいちばん贅沢だったかもしれません。

窓辺で、本を読んでいた時間
いちばん長くいたのは、奥の長ソファでした。座ると、いくつかある小窓から外が眺められる仕掛けになっています。ぜんぶを開け放つのではなく、見たい方向の窓を自分で開ける。開けた分だけ森が入ってくる、という感じです。

テーブルにはフルーツと世界のホテルを紹介する本が置いてありました。何も予定を入れなかった時間も居心地良く過ごせました。

洗面台が、二つあるということ
洗面台が男女それぞれに一つずつ、真ん中にバスタブ。支度の時間がぶつからないというのは、二人旅ではかなり便利でした。

ルームサービスの夜
部屋には飲み物とウェルカムフルーツ、ビールまで用意されていました。この日はルームサービスを頼んだのですが、そういうときにこれが役に立ちます。
運ばれてきた料理は、すぐ食べられるように整えられていて、テーブルセッティングが本当に見事でした。味もよかった。部屋から出なくても、ちゃんとした一食になります。感動的でした。

森の中にいる、ということ
屋根のあるテラスなのに、ガラスが水滴で曇っていました。雨ではありません。結露です。それだけ空気が湿っていて、それだけ森が近いということでした。

朝と夜、二度散歩しました。ここは歩くために設計された場所だと思います。道が心地よく続いていて、どこを曲がっても絵になる。バギーで移動すれば、風を切って走るのがまた気持ちいい。
不思議だったのは、あれだけ手入れが行き届いているのに、掃除をしている人を一度も見なかったことです。ゲストの動線と、働く人の動線が完全に分けてあるのだと気づきました。30年以上前にこれを作ったのか、と思いました。
ここで読んでいた本は『羊をめぐる冒険』(村上春樹)でした。舞台は北海道で、マレーシアとは正反対の気候ですが、ちょうど山が出てくる物語だったので、印象に残りました。自然の広さが実際にも、本の中にも感じられて。
木漏れ日は、眩しくなかった
これが、この滞在でいちばん書きたかったことです。
日光アレルギーと20年近くつきあってきた私にとって、屋外は基本的に身構える場所です。ところがダタイでは、身構えずに外にいられました。頭上を木の層が覆っていて、光が直接落ちてこない。木漏れ日はやわらかくて、まったく眩しくないのです。
日陰を探して歩くのではなく、全部が日陰だった。だから、木陰を選ぶ旅としてこの宿を選んだのは、正解でした。

恵子さんと、ハリナシバチの蜜
日本人スタッフの恵子さんの案内が、この滞在を何倍にもしてくれました。敷地内の巣箱に連れて行ってもらい、ハリナシバチの蜜(クルルット蜜)をなめさせてもらいます。とろりとしておらず、さらっとしていて、酸味がありました。
聞かなければ通り過ぎていたものが、この滞在にはたくさんありました。
また、あの木の下へ
帰る日、また来ようねと夫婦で話しました。マレーシアにいる間にまた来たいと考えています。次はキャノピーに泊まってみたいとも。
木漏れ日が眩しくない場所を探して旅をするようになったのには、20年近い理由があります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました🌿
🟡この記事を書いた人:タマキ
日光アレルギー歴17年。日差しが苦手なのに、縁あってマレーシアへ移住してしまいました。 動き回るせっかちな夫と、のんびり日陰を選ぶ私のシニア夫婦ふたり暮らし。
「快適にすごす工夫」を探しながら、日光アレルギーのこと、日々の暮らし、無理しない旅の記録を綴っています。
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