ホームエレベーターの維持費、20年住んで分かった本当のコスト|二世帯住宅を手放すまで

家を売った理由は、ひとつではありません。
暮らしの変化、家の広さ、これからの人生のこと。

でも「持ち続ける」という選択を考えたとき、
静かに重くのしかかってきたもののひとつが、
家の中にひっそりと立っていた、
3人乗りのホームエレベーターでした。

家を建てるときは、総額を丸ごと把握するので、
エレベーター単体の将来費用なんて、
正直、注目していませんでした。

20年住んで、初めて分かったことを書いてみます。
これから二世帯住宅を建てる方、
エレベーター付きの実家を引き継ぐかもしれない方に、
知っておいてほしい話です。

■毎月の電気代は、思ったより安い

「エレベーターがあると、電気代が大変でしょう?」
そう聞かれることが、ときどきあります。

でも正直に言うと、
わが家で電気代を気にしたことは、一度もありませんでした。

家庭用のホームエレベーターは、
ドライヤー1台ぶんにも満たない電力で動きます。
一般的にも、電気代は月に数百円から、
多くても千円ほどといわれています。

毎日の電気代は、心配いりません。
本当に効いてくるのは、これから書く「別の費用」のほうでした。

■毎年の点検と、終わらない部品交換

ホームエレベーターには、年1回の定期点検があります。
人が乗る機械ですから、欠かすわけにはいきません。

点検費用は、わが家の場合、毎回6万円台。
これ自体は、想定の範囲でした。

問題は、年数が経つにつれて、
点検が「点検だけ」では終わらなくなっていったことです。

「そろそろベルトの交換時期ですね」
「制御基板も、そろそろ替えておきましょう」

点検のたびに、こうした交換の話が出るようになりました。
ベルトのような消耗品から、制御基板のような電子部品まで、
さまざまな交換が、ほとんど毎年のように続いていったのです。

6万円台の点検料に、数万円単位の部品代が上乗せされる。
それが、わが家の毎年の風景でした。
交換が重なる年は、何十万円という請求が来ることもあったのです。

家電なら「壊れたら買い替え」で済みますが、
エレベーターは「止まったまま」にはできません。
払わない、という選択肢が、実質ないのです。

■突然の電話、「部品交換で約70万円」

ある年、保守会社から電話がありました。
部品交換が必要で、費用は約70万円とのこと。

それまでの私たちは、
言われた金額を二つ返事で払ってきました。
安全に関わるものだから、と。

でもその時は、即答しませんでした。
「相見積もりを取ってみます」
そう伝えたのです。

すると提示額は、数万円下がりました。

そして——そこから先が、不思議でした。
あれほど必要だと言われた部品交換の話が、
その後、向こうから二度と出てこなかったのです。

数ヶ月後、私たちは家を手放したので、
あの部品交換がどうなったのか、結末は知りません。

ただ、ひとつだけ確かなことがあります。
本当に今すぐ必要な交換だったのかどうか、
私たちには最後まで分かりませんでした。

それ以来、わが家のルールはこうなりました。
大きな金額は、その場で即答しない。

そしてこれは、大きな金額に限った話ではありませんでした。

点検のために保守会社に電話をする際、
「他の会社も検討しています」と伝えただけで、最後の数年間は、毎年の点検代が2,000円ほど下がったのです。

たった2,000円。されど2,000円。
黙って払い続けていたら、
ずっとそのままだったお金です。

大きな修繕も、毎年の点検も、
ひとこと伝えるだけで、変わることがある。
それを、最後の数年で知りました。

■エレベーターには「寿命」がある

そして調べていくうちに知ったのが、
エレベーターには寿命がある、という事実です。

メーカーが想定する耐用年数は、一般に20〜25年ほど。
つまり築20年のわが家は、
「いずれ」ではなく「もうすぐ」、
丸ごと入れ替える時期に入っていました。

ホームエレベーターの入れ替えは、
撤去や工事まで含めれば数百万円規模。
車を一台買うような出費が、
目前に控えていたのです。

導入したときのカタログには、
便利さは書いてあっても、
「20年後にもう一度この出費があります」とは
書いてありません。

■家全体で計算したら、2,000万円級だった

家をどうするか考え始めたとき、
私たちは初めて「持ち続けた場合」の計算を
真面目にやってみました。

実は20年の間に、家の大型修繕をひとつ済ませていました。
防水工事です。
吹き抜けのある家なので、足場を組む大掛かりな工事になり、
約400万円もかかりました。

ただその頃は相見積もりをせず、
一つの業者だけで決めていました。
比較検討すれば、もう少し費用を抑えられたかもしれない——
そう思っています。

そして、これから控えていたのが、

・外壁・屋根の修繕
・電気給湯器の交換(2世帯分)
・寿命を迎えるエレベーターの入れ替え
・毎年の点検と部品交換

目前に迫ったエレベーターの入れ替え。
それに加えて、大きな二世帯住宅の設備の修繕。

この先の維持費を積み上げていくと、
2,000万円級という数字が見えてきました。

「家は、持っているだけでお金がかかる」
言葉としては知っているつもりでした。
でも自分の家の数字で計算して初めて、
その意味が本当に分かったのだと思います。

■これからエレベーター付きの家を考える方へ

ホームエレベーターそのものは、便利です。
階段がつらくなる年齢を考えれば、
二世帯住宅に付ける判断は間違いではありません。

ただ、導入や相続を考えている方には、
本体価格と一緒に、これも確認してほしいのです。

・年1回の点検費用はいくらか
・部品交換は、何年目ごろから増えるのか
・寿命は何年で、入れ替えはいくらかかるのか
・そして、大きな修繕費を提示されたら即答しないこと

「買えるか」ではなく、「持ち続けられるか」。
家もエレベーターも、本当の値段はそこにあります。

わが家は最終的に、この家を手放す選択をしました。
売却までの記録は、こちらのまとめに書いています。

→ 50代夫婦の自宅売却|体験談まとめ【全18記事】
https://senior-sun-sensitive.com/50s-couple-home-sale-all-18-articles/

最後まで読んでいただき、ありがとうございました🌿


🟡この記事を書いた人:タマキ
日光アレルギー歴17年。日差しが苦手なのに、縁あってマレーシアへ移住してしまいました。 動き回るせっかちな夫と、のんびり日陰を選ぶ私のシニア夫婦ふたり暮らし。
「快適にすごす工夫」を探しながら、日光アレルギーのこと、日々の暮らし、無理しない旅の記録を綴っています。


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