あの日の朝は、少し緊張しながらも、どこか落ち着いた気持ちで出かけました。
前回、途中までしか抜けなかった奥歯の根っこを、今日は専門の先生にお願いする日。
紹介してもらったのは、九州大学の口腔外科出身の先生で、かかりつけ医からの紹介でした。
手術前の説明と安心感
診察室では、CT画像を見ながら、神経の位置やリスクをていねいに説明してくださいました。
「神経が近いので、触れないように慎重に進めますね」と。
その言葉に、緊張の中にも落ち着きを取り戻せたのを覚えています。
手術が始まると、先生の手つきが的確で、私の顎関節症にも気を配ってくださり、途中で何度か休憩を入れながら進めてくれました。
左あごの奥まで麻酔を上手に効かせてくれたおかげで、痛みはほとんどありませんでした。
手術中に印象に残った音
目を閉じていたせいか、耳から入る音がとても鮮明でした。
器具の金属音、吸引の音、スタッフのやり取り。
その中に混じって、「星に願いを」のオルゴールが静かに流れていました。
見えない分、音の世界が心に残っています。
機械音の中のやわらかな旋律が、緊張した気持ちをそっとほぐしてくれたようでした。
患者の表情を見てくれる先生
この先生は、顔に布をかけず、私は眼鏡をかけたままの処置でした。
それがまた不思議と安心につながりました。
「患者の表情を見ながら進めてくれているんだ」と感じたのです。
タオルをかけられると恥ずかしさは減るけれど、先生のペースにすべて委ねてしまうような感覚もあって。
でもこの日は、目線の通う距離で、こまめに「大丈夫ですか?」と声をかけてもらいながら進んだことで、心の中に小さな信頼の灯がともりました。
手術後の確認と笑顔
手術は思ったよりもスムーズに終わり、先生が「これで全部取れましたよ」と笑顔で伝えてくれました。神経は近かったけど、そちらを見て触らないようにしたので神経は傷ついていないとのこと。
消毒で訪れた次の日、左右の口元の感覚を確認してくださり、「変わりありませんか?」と。
「大丈夫です」と答えると、「それなら後遺症の心配もありませんね」と、またやさしく笑ってくださいました。
一緒にほっと笑い合えた、その時間がいちばん印象に残っています。
終わってみて感じたこと
長かった抜歯の道のりがようやく終わり、外に出たときの空気がやけに澄んで感じられました。
怖かった音や緊張の記憶よりも、「信頼できる先生と出会えた安心感」が心に残っています。
医療の現場には、技術の確かさと同じくらい、“人の温かさ”が大切なんだと改めて感じました。
その日のオルゴールの音色が、今も静かに胸の中で響いています。
🥦 この記事を書いた人:タマキ
日差しが苦手。でも旅も暮らしも楽しみたい。
ちょっとマイペースな夫とのシニア夫婦ふたり暮らし。
「快適にすごす工夫」を探しながら、
日光アレルギーのこと、日々の暮らし、無理しない旅の記録を綴っています。
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